「たり」「り」は、「つ」「ぬ」と同じ、完了の助動詞です。
完了は、動作・作用・状態が終わったことをいい、<~た>と訳します。
よろしう詠みたりと思ふ歌を、人のもとに遣りたるに、返しせぬ。(枕)
<上手に詠んだと思う歌を、人のところに贈ったのに…>
五十の春を迎へて、家を出で、世を背けり。(方丈)
<…出家した。>
存続は、現在もある状態が続いていることで、<~ている・~てある>と訳します。
紫だちたる雲の細くたなびきたる。(枕)
<紫がかっている(た)雲が細くたなびいている(のが趣がある)。>
道知れる人もなくて、惑ひ行きけり。(伊勢)
<道を知っている人もいなくて…>
アドバイス
「たり」「り」が完了と存続のどちらであるかを見分けるときは、とりあえず存続で訳してみましょう。
<~ている・~てある>で訳すことができる場合は存続を表し、そうでない場合は完了<~た>を表します。
もっと知る
「たり」は、接続助詞「て」+ラ変動詞「あり」という形が変化してできた語です。
・て+あり=てあり(teari)→たり(tari)
また、「り」は、動詞の連用形にラ変動詞「あり」が付いた形が変化して、それから独立してできた語です。
・咲き+あり=咲きあり(sakiari)→咲けり(sakeri)→咲け+り
「たり」「り」の基本的な意味が存続であることや、活用が「あり」と同じラ変型(後述)であることは、このような成り立ちに由来します。
また、「たり」が連用形接続であるのは、接続助詞「て」が連用形に付くからであり、「り」が四段・サ変動詞のエ段の活用語尾に付くことも、上のような成り立ちから理解することができます。
「たり」と「り」は、どちらも動詞のラ行変格活用と同じ活用をします(ラ変型)。➡動詞(10)ラ行変格活用
「たり」と「り」は、それぞれ接続のしかたが異なります。
「たり」は、動詞や動詞型の活用をする助動詞の連用形に付きます。ただし、ラ変型の活用語には接続しません。
「り」は、サ変動詞の未然形または四段動詞の已然形に付きます。それら以外に付くことはありません。
四段動詞の已然形ではなくて命令形に付くと説明されることもあります。
たとえば、四段動詞の「書く」に「たり」が付くときは連用形「書き」に付いて「書きたり」となりますが、「り」が付くときは已然形「書け」に付いて「書けり」となります。
アドバイス
完了の助動詞「つ・ぬ・たり・り」のうち、「り」だけは接続のしかたが特殊です。
「り」の接続は、サ変動詞未然形・四段動詞已然形=「さみしい」と覚えましょう。
コメントをお書きください
トランプJr (金曜日, 02 7月 2021 18:54)
いろいろ分からないところがあったのですが、これを見てまじでよく分かりました!本当にありがとうございます�!!
よくないよ (火曜日, 05 10月 2021 08:42)
いいね!
TY一郎 (金曜日, 29 10月 2021 14:52)
とてもわかりやすかったです‼︎‼︎‼︎‼︎
Ri (金曜日, 05 11月 2021 08:57)
重要な点がわかりやすくまとめられていてとてもたすかりました。
短時間で確認することができるのがほんとにいい!
友達にも勧めてみます!!
I (木曜日, 06 1月 2022 10:47)
ありがとうございます!
中学生 (水曜日, 23 2月 2022 21:04)
本当に助かります!!
B (火曜日, 06 9月 2022 12:54)
常々「書きたり」と「書けり」の意味上の違いがわからないのですが、
だれか教えてくれませんか~
高校生 (土曜日, 10 9月 2022 10:53)
アチガトウ
東急鳩ヶ谷 (月曜日, 24 10月 2022 21:28)
ありがとう!‼︎‼︎
あ (木曜日, 07 9月 2023 10:18)
ありがとう
くくく (金曜日, 06 12月 2024 20:25)
ありがとう